Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 117.781 Zeichen · 235 Bildschirme
読者の中には、あるいは、それを無駄だと思う人があるかも知れない。しかし、それが無駄であるかどうかは、一応それに眼をとおしてから決めてもらっても、おそくはあるまいと思う。と言うのは、無駄なことを読むよりも、無駄なことを書くことの方が、はるかにより多くの時間を無駄づかいするものだということを、最もよく知っているのは、読む側の人ではなくて、書く側の人なのだから。
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次郎の天性――くわしくいうと、彼が生れ落ちたときに、天から授かった生命の生地のままのすがた――が、どのようなものであったかは、むろん誰にもわかるはずがない。それは、おそらく、神様だけの胸に納まっていることであろう。およそわれわれが個々の人間の性質について知りうることは、その人間が、この世の空気を多少とも呼吸したあとのことなのである。そして人間は空気とともに運命をも呼吸するものだが、その運命は、人間の天性を決して生地のままにはしておかないものなのだ。
とりわけ、次郎はかなりきびしい運命の持主であった。しかもその運命は、生れてすぐの子供にとってはほとんどその生活の全部だともいうべき母乳が、母の乳房に十分めぐまれていなかったという事実にはじまったのである。