Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 117.781 Zeichen · 235 Bildschirme
俊亮は、お芳といっしょに仂きながら、彼女にふしぎな能力があるのを発見して、驚くことがしばしばだった。彼女は何事にもとくべつに頭をつかって考えたりするふうはなかった。また、どんなに忙しい時でも決して急ぐことがなく、足どりさえいつものとおりだった。それでいて、同じ鶏舎の仕事をやっても、俊亮よりは無駄がなく速いし、急所をはずしたことなどめったにない。彼女がいつも無口でほがらかな顔をしているだけに、俊亮にはそれが一層ふしぎに思えたのである。
(経験というものは恐ろしいものだ。)
俊亮は、はじめのうち、そんなふうに思っていた。しかし、よくよく考えてみると、お芳のそうした能力は養鶏のことばかりにあらわれているのではない。これまでだってべつに気をつかって整理しているようなふうでもないのに、箪笥の中にせよ、戸棚の中にせよ、いつもきちんと片づいており、お芳に任かされた限りは、どんな小さいものでもその在りかがすぐわかった。気のきかない女だと他人にも思われ自分でもそう信じているらしい彼女のどこに、そうした能力がひそんでいるのだろうか。俊亮はおりおりそんなことを考えて首をふった。