Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 117.781 Zeichen · 235 Bildschirme
もっとも、母乳の欠乏というようなことは、何も取立てて言うほど珍しいことではなく、世間には母の思慮深い処置によって、それを運命というほどの運命と感じないで育って行く子供も、ずいぶん多いのである。だから、次郎の場合、もし母の無思慮、というよりは、その生半可な教育意識が、乳の欠乏ということをきっかけに、つぎからつぎへと母としての不自然さの罪を犯してさえいなかったら、次郎の運命はあるいは全くちがったものになっていたのかも知れない。そう考えると、彼のきびしい運命は、母の乳房からはじまったと言うよりは、その乳房の二三寸奥の方からはじまったと言う方がおそらく正しいであろう。
ともかくも、お民のような母をもった子供が、生れ落ちた時に授かった天性をそのまま伸ばしていけるものかどうかは、すこぶる疑わしいのである。われわれは、これまで、次郎がしばしば怒り、悲しみ、あざ笑い、歎き、そしてさからうのを見て来た。また、時としては、疑い、悶え、省み、恥じ、そして考えこむ姿にも接して来た。彼は、勇敢であると同時に怯懦であり、正直を愛すると同時に策謀を好む少年であるかにさえ思われたのである。