Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 117.781 Zeichen · 235 Bildschirme
あるいは、そういうのが彼の本来の面目であったかもしれぬ。そして運命がたえずそれに糧を与え、彼という人間を一層彼らしく育てあげていたとも言えるであろう。しかし、また、彼が天から授かった性質はもっと純粋でなごやかなものであったのに、運命がそれをゆがめ、こねまわして、遂に彼ならぬ彼を作りあげてしまった、と言えないこともないのである。だが、そうしたことの判断は、所詮、神様だけにおまかせするより仕方がない。かりにその判断が我々に下せたとしても、過去の運命というものが我々の手で帳消しできない以上、また、かりに帳消し出来たとしても、帳消しにすることによって次郎が現在以上の人間になれると請合えない以上、今さらとやかく詮議立てしてみても、はじまらないことなのである。
次郎について、われわれの知っておかなければならないもっと大事なことは、神のみが知る彼の天性が、彼のきびしい運命と取っ組みあって行くうちに、彼が一個の生命としての健全さを失いはしなかったか、ということである。彼の天性が、天性のまま伸びたかどうかは、「永遠」に向かって流れて行く生命の立場からは、元来大した問題ではない。