Japanische Klassiker mit Furigana
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うたまろざんげ
歌麿懺悔
邦枝 完二
Lesen Sie 歌麿懺悔 (うたまろざんげ) von 邦枝 完二 (くにえだかんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.396 Zeichen · 23 Bildschirme
て来た家主の治郎兵衛は、歯の根も合わぬまでに、あわてて歌麿の枕許へにじり寄った。
「これはどうも。――」
歌麿は家主の顔を見ると同時に、唯事でないのを直感したもののそれにしても何んのことやら訳がわからず、重い頭を枕から離すと棒を呑んだように、布団の上に起き直った。
「大層お早くから、どんな御用で。――」
「歌麿さん」
治郎兵衛は、まず改めて歌麿の名を呼んでから、ごくりと一つ固唾を飲んだ。
「へえ」
「お前さん、お気の毒だが、これから直ぐに、わたしと一緒にお奉行所まで、行ってもらわにゃならねえんだが。……」
「奉行所へ」
「うむ」
「何かの証人にでも招ばれますんで。――」
「ところが、そうでないんだ。お前さんのことで、今朝方、自身番から差紙が来たんだ」
「え、あっしのことで。――」
歌麿は、治郎兵衛の顔を見詰めたまま、二の句がつげなかった。
「名主さんや月番の人達も、みんなもう、自身番で待ってなさる。どんな御用でお前さんが招ばれるのか、そいつはわたし達にも判らないが、お上からのお呼び出しだとなりゃア、どうにも仕方がない。お気の毒だが、早速支度をして、わたしと一緒に行っておくんなさい」