Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうたい
正体
山本 周五郎
Lesen Sie 正体 (しょうたい) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.312 Zeichen · 15 Bildschirme
香をあげて部屋の隅にさがると、しばらくして通夜の僧が入ってきたのを機会に、八木が肩を突いてこっちへ来いと合図をした。
「おい、すばらしいぞ」
廊下へ出ると八木良太が云った。
「僕あじつのところ軽蔑しとったんやが、今日あいつの画を見てびっくりした、すばらしいものがたくさんあるんや、まあ見てみい」
「妻君はどうしたんだ」
「頭が痛むとか云ってあっちへ行ったが――まあ妻君へお悔みを云うのなんかあとにせい、それより一遍あいつの画を見いや」
八木は津川の気持などにはかまわず、そう云ってどんどん画室へ入って行った。
龍助の画室は洋館の離室を改造したもので、明りとりも大きく、贅沢な嵌込み煖炉があって窓は全部二重硝子になっている十坪ほどのがっちりした部屋だった。
画室の中はいっぱいの画だった、額縁に入ったのや、カンバスのまま重ねてあるのや、大きさもとりどりでおよそ五六十点あるであろうか、それから驚いたことにはそれらの画が全部佐知子を描いたものであることだ、年代順に見ると初めは着衣の全身、それから半身になって、顔だけになって、さらに小品の中には眼を中心にした顔の上半だけのものが七八点に及んでいる。