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Japanische Klassiker mit Furigana

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しょうごのさつじん

正午の殺人

坂口 安吾

Lesen Sie 正午の殺人 (しょうごのさつじん) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.888 Zeichen · 28 Bildschirme

Aozora Bunko

それについて、久子は奇怪な申し立てを行っているのである。

「私が神社の前にたたずんでいましたのは、そこで待っておれという先生のお言葉だったからです」

「いつ命令をうけましたか」

「その前日、午後二時ごろ、先生から社へお電話がありましたのです。渡すものがあるから、正午ごろ神社の前で待っておれと申されました」

「なぜ正午まで待たなかったのですか」

「先生のお宅がすぐ近いのに、そんなところに待ってるのが不安になったからです。コソコソと人に隠れるようなことがしていけないように思われて、正午ちかくなってから、なんとなく先生のお宅まで行ってしまったのです」

「渡すもの、とは何ですか」

「たぶん原稿だろうと思いました。それしか考えられませんから」

ところが、その原稿は彼の寝室(兼書斎だが)になかったのである。書きかけのものもなかった。そして、久子の原稿の〆切はまだ先のことでもあった。

久子がこう申し立てているにも拘らず、神田の様子はそんな約束をしているようには思われないのだ。久子の来訪を待ちかねてはいたが、自ら約束の場所へでかけようとする様子はなかった。その気持があれば出かけることはできたはずだ。