Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しょうせつのかきおき

正雪の遺書

国枝 史郎

Lesen Sie 正雪の遺書 (しょうせつのかきおき) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.367 Zeichen · 15 Bildschirme

Aozora Bunko

解っていながら愚かな行為を敢えて行なうという以上は、行なうだけの何等かの理由が、そこになければならない話です。それで私はその理由を、ここで披瀝いたしまして、貴意を得る次第でございます。

さて、私の追想は、江戸牛込榎町に道場を開いたその時分に、立ち返らなければなりません。山気の多い私にとっては万事万端浮世の事は大風呂敷を拡げるに限る、これが最良の処世法だと、この様に思われたものですから、道場に掛けた看板も、

由井民部之助橘正雪張孔堂、十能六芸伊尹両道、仰げば天文俯せば地理、武芸十八般何流に拘らず他流試合勝手たる可き事、但し真剣勝負仕る可き者也

こういったようなものでした。果たして私の思惑通り、この大風呂敷が図に当たり、予想にも優した大繁盛が訪ずれて来たのでございます。諸大名方へのお出入りも出来、内弟子外弟子ひっ包めると、およそ千人の門弟が瞬間に出来上ってしまいました。

「何と世の中は甘いものであろう」

この時の私の気持といえば、ざっとこんなものでございました。

3

とはいえさすがのこの私も、貴郎から差し紙を戴いた時には、思わず呼吸を呑みました。

「これは少しくやり過ぎたな」