Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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はぐるま

歯車

芥川 竜之介

Lesen Sie 歯車 (はぐるま) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 25.267 Zeichen · 52 Bildschirme

Aozora Bunko

(僕は木目や珈琲茶碗の亀裂に度たび神話的動物を発見していた)一角獣は麒麟に違いなかった。僕は或敵意のある批評家の僕を「九百十年代の麒麟児」と呼んだのを思い出し、この十字架のかかった屋根裏も安全地帯ではないことを感じた。

「如何ですか、この頃は?」

「不相変神経ばかり苛々してね」

「それは薬でも駄目ですよ。信者になる気はありませんか?」

「若し僕でもなれるものなら……」

「何もむずかしいことはないのです。唯神を信じ、神の子の基督を信じ、基督の行った奇蹟を信じさえすれば……」

「悪魔を信じることは出来ますがね。……」

「ではなぜ神を信じないのです? 若し影を信じるならば、光も信じずにはいられないでしょう?」

「しかし光のない暗もあるでしょう」

「光のない暗とは?」

僕は黙るより外はなかった。彼もまた僕のように暗の中を歩いていた。が、暗のある以上は光もあると信じていた。僕等の論理の異るのは唯こう云う一点だけだった。しかしそれは少くとも僕には越えられない溝に違いなかった。……

「けれども光は必ずあるのです。その証拠には奇蹟があるのですから。……奇蹟などと云うものは今でも度たび起っているのですよ」