Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しのよこく
死の予告
野村 胡堂
Lesen Sie 死の予告 (しのよこく) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.149 Zeichen · 34 Bildschirme
あとで、千種さんもかいで置くといいな――杏の匂いがしませんか、巴丹杏や、杏仁水などと同じような酸味のある匂いです」
切手入れの古雅な塗物の中に、「足の勇」が言う通り、ほのかに、杏の香いが籠って居るような気がいたします。
「青酸だ!」
「そうだ、千種さんは気が付いたか。伯爵を狙う者は、誰だかわからないが、兎に角、伯爵の書斎に忍び込んで、切手入れの中の切手全部の裏へ、青酸を塗って置いたのだ。ところが、伯爵は切手の裏を舐めるような下品なことはされないから、何時まで経っても御無事だ――がその日の朝、たまたま用事があって此書斎へ入って来た書生が、卓の抽斗が開いて居て、中の切手箱が見えるから、下司の浅ましさで、ツイ一枚切手をくすねる気になった――昨夜の中に書いて、封をして出すばかりになって居る手紙を、懐から取り出して、左の手に持った――右手で抽斗の中の切手箱から、切手を一枚取出し、その裏を舐めて手紙へ貼った――切手の裏には猛毒薬青酸が塗ってあるから、アッと言う間もなく死んで了ったのでしょう。世の中に血の通って居る人間に取って、青酸ほど恐ろしい毒薬は無い。ある法医学博士は、青酸を舐めるのは、沸り返って居るボイラーへ水をぶっかけるようなものだ。