Japanische Klassiker mit Furigana
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しまでをかたる
死までを語る
直木 三十五
Lesen Sie 死までを語る (しまでをかたる) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 42.739 Zeichen · 85 Bildschirme
そして、こんな事は、一切女房に打明けない性でもあるから、仕方が無いと、一人であきらめて、又、青野と夫婦喧嘩の話をして日を送っていた。
三十四
その内に、田中純が、一つ仕事をもってきてくれた。それは、当時「アカギ叢書」という十銭で、何んな事でもその梗概だけはわかるという本が出ていたが、それが売れるので、それの模倣の十銭本が、いくつも出たのである。私のは、その中の一つで、トルストイの「戦争と平和」を、二百枚にちぢめて書いてくれ、原稿料は四十円。名は、相馬御風氏のを借りるという仕事である。
「翻訳は出てないだろう」
と、聞くと
「無いねえ」
大変な本である。読むだけで、十日や、二十日はかかる。私は四十円の稿料が、灼けつくように欲しいし、見ただけでうんざりする大部の書物を考えると、暗くなってくるし、大抵の事は即答する私であるが、一寸考えこんだ。しかし
「やろう」
と、云わ無い訳には行かなかった。それから並製本の「戦争と平和」を買ってきて、読みかけたが、三四十頁も読んで、ようよう梗概が二三行しか書けない。私は、幾度か投げようかと思ったが、四十円あると、夫婦で二ヶ月暮らせるし、女房は妊娠しているし、三四日、半分怒りながら書いて行った。