Japanische Klassiker mit Furigana
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したいろうそく
死体蝋燭
小酒井 不木
Lesen Sie 死体蝋燭 (したいろうそく) von 小酒井 不木 (こざかいふぼく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.917 Zeichen · 10 Bildschirme
耳をさらえてよく聞いておくれよ」
和尚はその眼をぎろりと輝かして一段声を高めた。
「実はなあ、お前はわしを徳の高い坊主だと思っているかもしれんが、わしは阿弥陀様の前では、じっとして坐っておれぬくらいの、破戒無慚の、犬畜生にも劣る悪人だよ」
「えッ?」
あまりに意外な言葉に法信は思わず叫んで、化石したかのように全身の筋肉をこわばらせ、和尚の顔を穴のあくほどながめた。
「わしはなあ、人を殺した大悪人だ。さあ、驚くのも無理はないが、お前がこの寺に来る前に雇ってあった良順という小坊主は、あれはわしが殺したのだ」
「嘘です、嘘です、和尚さま、それは嘘です。どうぞ、そんな恐ろしいことはもう言わないでください」
「いや、本当だよ。阿弥陀様の前で嘘は言わぬ。良順は、表て向きは病気で死んだことになっているが、その実、わしが手をかけて死なせたのだ。それには事情があるのだよ、深い事情があるのだよ。その事情というのはまことに恥ずかしいことだけれども、これだけはどうしてもお前に聞いてもらわねばならん。
わしは坊主となって四十年、その間、ずいぶん人間の焼けるにおいを嗅いだ。はじめはあまり心地のよいものではなかったが、だんだん年をとるにしたがって、あのにおいがたまらなく好きになったのだ。