Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しけいのまえ
死刑の前
幸徳 秋水
Lesen Sie 死刑の前 (しけいのまえ) von 幸徳 秋水 (こうとくしゅうすい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.243 Zeichen · 23 Bildschirme
けれども、わたくしは、ここで死刑の存廃を論ずるのではない。今のわたくし一個人としては、その存廃を論ずるほどに死刑を重大視してはいない。病死その他の不自然な死が来たのと、はなはだ異なるところはない。
無常迅速・生死事大、と仏家はしきりにおどしている。生は、ときとしては大いなる幸福ともなり、またときとしては大なる苦痛ともなるので、いかにも事大にちがいない。しかし、死がなんの事大であろう。人間の血肉の新陳代謝がまったくやすんで、形体・組織が分解しさるのみではないか。死の事大ということは、太古より知恵ある人がたてた一種のカカシである。地獄・極楽の蓑笠つけて、愛着・妄執の弓矢をはなさぬ姿は、はなはだものものしげである。漫然と遠くからこれをのぞめば、まことに意味ありげであるが、近づいて仔細にこれを見れば、なんでもないのである。
わたくしは、かならずしもしいて死を急ぐ者ではない。生きられるだけは生きて、内には生をたのしみ、生を味わい、外には世益をはかるのが当然だと思う。さりとてまた、いやしくも生をむさぼろうとする心もない。病死と横死と刑死とを問わず、死すべきのときがひとたびきたなら、十分の安心と満足とをもって、これにつきたいと思う。