Japanische Klassiker mit Furigana
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しかばねをくうおとこ
死屍を食う男
葉山 嘉樹
Lesen Sie 死屍を食う男 (しかばねをくうおとこ) von 葉山 嘉樹 (はやまよしき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.482 Zeichen · 16 Bildschirme
安岡は全く眠ったふうを装った。が、眠れもしないのに眠ったふうを装うことは、全く苦しいことであった。だが、何かしら彼の心の底で好奇心に似た気持ちが、彼にその困難を堪えしめた。
深谷は、昨夜と同じく何事もないように、ベッドに入ると五分もたたないうちに、軽い鼾をかき始めた。
「今夜はもう出ないのかしら」と、安岡は失望に似た安堵を感じて、ウトウトした。
と、また、昨夜と同じ人間の体温を頬の辺りに感じた。
「確かに寝息をうかがってるんだ!」
だが、彼は今までどおりと同じ調子の寝息を、非常な努力のもとに続けた。
パッと電燈がついた。そのまま深谷のスリッパがパタパタとドアのほうに動いた。が、深谷はドアの前でそれを開くと、そのまま振り返って、安岡のほうをジーッとみつめた。その顔の表情はなんともいえない凄いものであった。死を決した顔! か、死を宣告された顔! であった。
彼は安岡が依然のままの寝息で眠りこけているのを見すますと、こんどは風のように帰ってきて、スイッチをひねらないで電球をねじって灯を消した。
そうして開けたドアから風のように出て行った。
安岡はそれを感じた。