Japanische Klassiker mit Furigana
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ころされたてんいちぼう
殺された天一坊
浜尾 四郎
Lesen Sie 殺された天一坊 (ころされたてんいちぼう) von 浜尾 四郎 (はまおしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.716 Zeichen · 27 Bildschirme
三
私がはじめて御奉行様の晴やかなお顔に、暗い影を見い出しましたのは或る春の夕暮でございました。お役目が済みましてからお邸にお帰りになりました時、いつになく暗いお顔をなされご機嫌もよろしくございませぬ。余りに公事が多すぎるお疲れかと、存じて居りましたのですが、其の夜はおそくまでお寝みになりませんでお一人で何かお考えになっておいで遊ばしたのでございます。
その翌日も同じようにお出ましにはなりましたけれどもお帰りの時には矢張りご気分がおすぐれになりませぬ。
其の夜私は、或る人から妙なお話を承りましたのでございました。
何でも二、三日前に深川辺の或る川へ女が身投を致してその水死体がどこかの橋の下に流れついたのだそうでございます。
お役向の方々がお調べになりますと、懐にぬれぬようにしっかと包んだ物がある、出して見ますと之がつまり其の女の遺書なのでございます。遺書には次のような気持が書かれてあったそうでございます。
「私は橋本さきと申す、誰もかまいつけてくれない哀れな女でございます。昨年の春、自分の腹を痛めた、愛しい愛しい子を取り返したい為にお奉行様の前に出ました女でございます。