Japanische Klassiker mit Furigana
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さつじんのはて
殺人の涯
海野 十三
Lesen Sie 殺人の涯 (さつじんのはて) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.631 Zeichen · 6 Bildschirme
私は先刻から、払いのけても又泉のように湧き上ってくる後悔の念をどうすることも出来なくなった。殺すまでは、どうしても殺さねばいられない女房だったが、こうやって殺してしまうと、殺すほどのことはなかったのだという気がする。その上この屍体の始末の手数のかかることはどうだ。警官が嗅ぎつけてやってくるまでには指一本残らず、溶かしてしまわねばならない。気のせいか液体はだんだんと白くなって来たようだ。いよいよ充分に溶けてきたものらしい。
そのとき、ホトホトと入口をノックする者があった。
「ちょっと開けて下さい」
私はチェッと舌打ちをした。
(警官だナ。――)
もうホンの少しというところだ。今開けては困る。黙っていよう。
私は液体を掻き廻す手を早めた。額から汗がボタボタと落ちて、桶の中に入る。私は顔を横に曲げた。
「どうして開けてくれないのですね、ちょっと開けて下さい」
警官の奴、気を苛々しているぞ。何といっても開けるものか。そしてこの間に、すっかり溶かしてしまわなくちゃ。
「だが、殺さなくてもよかったものを」と私はまた後悔の復習をした。
「殺したばっかりに、こんな一所懸命に器械の真似をせにゃならぬ。