Japanische Klassiker mit Furigana
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さつじんきょうのはなし
殺人狂の話
浜尾 四郎
Lesen Sie 殺人狂の話 (さつじんきょうのはなし) von 浜尾 四郎 (はまおしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.549 Zeichen · 21 Bildschirme
以下その例を少しく記して見よう。
一、ヴァッヘル事件
南欧の「ジャック・ゼ・リッパー」と称せられたヴァッヘルは、まさしく殺人狂の一人であった。
彼が全くの狂人であったかどうかは、専門家の間に可なりの問題を惹起した。
仏国ボーフォールに生れた彼は、一八九〇年ブサンソンの第六十聯隊に勤務したが既にその頃から野性を発揮して同僚達に恐れられはじめた。
除隊間際に、一人の若い女と恋に陥ったが嫉妬の為に、彼女をピストルで射撃し(但し、殺すには至らず)自分はその場で自殺をはかったが之も未遂に終った。ただこの時、自分のピストルで右耳を射たので以後、右耳は全くきこえなくなり、顔面に時々はげしい痙攣をおこすようになってしまった。
其後も彼はだんだん乱暴を働き暴行をするのでとうとう法廷につれ出されるかわりに、サンロベールの気狂病院に入れられるに至った。
若し彼が此のままいつまでも病院にはいって居たならば彼の為にも他人の為にも、之から犯すような大きな不幸は起らなかったであろうが、不幸にして――然りまことに不幸な事には、一八九四年の五月一日に、ヴァッヘルは全治せるものとして退院を許されたのである。