Japanische Klassiker mit Furigana
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さつじんめいろ
殺人迷路
夢野 久作
Lesen Sie 殺人迷路 (さつじんめいろ) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.931 Zeichen · 12 Bildschirme
な犯罪の計画者」も予算して居なかったのではあるまいか。津村は人間最高の智力と、意力によって計画された「完全な犯罪」の機構の中からフラフラと洩れ出した無力な人形ではなかったろうか……何時、何処へ行って、ドンナ事を始めるかわからない……。
「アッ。此処だ」
と突然に叫んだ津村は、それでも五十銭玉を一個、運転手に渡すことを忘れなかった。そうして「医療器械」と大きく「岩代屋――電日二〇二〇三」と小さく明朝体で書いた白地の看板を見上げたまま暫くの間突っ立っていた。
彼は此処まで来てヤット「此処まで来た理由」を思い出したのであった。
彼は今日の午後一時頃、此の医療器械屋を出て、怪しい男女の乗った自動車を東京駅まで跟けて行く途中で、星田に云った自分の言葉を今一度その通りに自分の耳に云って聞かせたのであった。白地の看板を見上げながら……
「僕はヒョットしたら、是は村井さんのイタズラじゃ無いかと思うんですが……」
そう云って村井の行動の怪しい点を一つ一つに拾い出した時の自分の微苦笑じみた気持までもハッキリと思い出したのであった。
つつましやかな彼は、こうして自分の云った言葉や、他人から云いかけられた言葉をいつまでもいつまでも丹念に記憶している癖があった。