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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぼしじょじょう

母子叙情

岡本 かの子

Lesen Sie 母子叙情 (ぼしじょじょう) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 77.355 Zeichen · 153 Bildschirme

Aozora Bunko

た。かの女の顔色は女中に見咎められる程真青だった。かの女は自分の部屋へ入って半病人のように机の前に坐ると「もう逢わない。もう逢わない」こう独言を云ってから規矩男に簡単な絶交状めいた手紙を書いた。

その夜、かの女は晩く、こんなことを話し合える夫と妻とについて内心不思議がりながら、逸作に規矩男と自分との経過のあらましを話した。

「はははは……。そんなことだったのか、そうかははは……。だけどお蔭で君の一郎熱が近頃余程緩和されてたね。なあに規矩男君にも時々逢うさ。そして一郎熱を緩和しながら、君ももうすこし落着いて仕事にかかりたまえ」

逸作はこう云って莨に火をつけ、軽く笑い続け乍らかの女をまじまじと視ていたが、

「きみい(君)、規矩男君の許嫁や僕に済まないと思わないで、一郎にばかり済まないって面白いなあ……ははは……」

「……その済まなさも私の何処かに漠然と潜んでいたには違いないのよ。でもそれは単なる道徳上の済まなさになるんだから、そんなに強いもんじゃないでしょう。こっちはしんからびりびりッと本能の皮膚にさわって来たのよ、もっともこの問題はむす子を仲介にして始まったんですから、むす子への済まなさが中心になったのがあたり前でしょうけど」