Japanische Klassiker mit Furigana
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ははおや
母親
若杉 鳥子
Lesen Sie 母親 (ははおや) von 若杉 鳥子 (わかすぎとりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.750 Zeichen · 16 Bildschirme
みを子はポッと頬を染めて、何時までも喋りつづけようとした。暫く彼女の雄弁はつづいた。
その間兄は、額とすれすれにおろした電燈の笠の下で、顳※(こめかみ)をぴくぴくさせて、泣き出しそうな表情をしていたが、
「みを子――」
矛盾に堪えられなくなるといつもいうように、彼はまたそれをいった。
「俺がお前のようなことをやって、馘にでもなって見ろ、この生活は誰が背負うんだ。」
母親は、はらはらして、いい争う兄妹を見ていた。
みを子が何時の間にそんな理窟をいう娘になったかと思って、まだ子供っぽい肩のあたりを見ていると、不思議と娘のいうことが解った。しかしまた病身で勤めている兄の方も、たまらなく、可哀想になった。
そのことのあった翌朝、母親が眼を覚ました時は、みを子の寝床は空ッぽだった。何時間経っても帰って来ない。
娘は行ってしまったのだ――そう気がついた瞬間、母親の眼を掠(かす)めたものは、山崎という青年の姿だ! だがその男は何処(どこ)に住んでいるのか、さっぱり見当もつかなかった。
そのうちに一ケ月余り経った。
土砂降りの日があると、翌日はまた夏のようにあつい日があった。