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Japanische Klassiker mit Furigana

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すいがいざつろく

水害雑録

伊藤 左千夫

Lesen Sie 水害雑録 (すいがいざつろく) von 伊藤 左千夫 (いとうさちお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.302 Zeichen · 25 Bildschirme

Aozora Bunko

そうして間もなく無心に眠ってしまった。二人の姉共と彼らの母とは、この気味の悪い雨の夜に別れ別れに寝るのは心細いというて、雨を冒し水を渡って茶室へやって来た。

それでも、これだけの事で済んでくれればありがたいが、明日はどうなる事か……取片づけに掛ってから幾たびも幾たびもいい合うた事を又も繰返すのであった。あとに残った子供たちに呼び立てられて、母娘は寂しい影を夜の雨に没して去った。

遂にその夜も豪雨は降りとおした。実に二夜と一日、三十六時間の豪雨はいかなる結果を来すべきか。翌日は晃々と日が照った。水は少しずつ増しているけれど、牛の足へもまだ水はつかなかった。避難の二席にもまだ五、六寸の余裕はあった。新聞紙は諸方面の水害と今後の警戒すべきを特報したけれど、天気になったという事が、非常にわれらを気強く思わせる。よし河の水が増して来たところで、どうにか凌ぎのつかぬ事は無かろうなどと考えつつ、懊悩の頭も大いに軽くなった。

平和に渇した頭は、とうてい安んずべからざるところにも、強いて安居せんとするものである。

二

大雨が晴れてから二日目の午後五時頃であった。