Japanische Klassiker mit Furigana
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みずがめ
水甕
豊島 与志雄
Lesen Sie 水甕 (みずがめ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.082 Zeichen · 26 Bildschirme
梅もどきの実はまだ青く、白と黄との小輪の菊の花は、花弁が堅そうに縮んでいました。それを見ながら、うっかり飲むと、まだ杯を下に置かぬうちに、彼女はもう銚子を取りあげて酌をしました。
料理は粗末だが、酒は尽きませんでした。
江川はもう可なり酔って、そばの芸者に爪弾きをさせながら、都都逸などをうなっていました。中本は端坐から胡坐になっただけで、いつまでも姿勢をくずさず、お座敷を勤めているのかどうか分らない身扮りの老妓を相手に、静に話をし静に飲んでいました。
ふしぎなのは一座の様子で、普通は芸者たちがあちこち席を変えて空気を一つにまとめあげるものなのに、そこでは、芸者はそれぞれ一人の客に付き添ったままで、恰も遊廓のような工合でした。互にあちこち話をし、言葉のやりとりをしても、それが途切れると、また男女一組ずつに別れてしまいました。
自分の相手方になり、そばにぴたりと付き添ってる女から、仁木はもう遁れられない気がしてきました。次から次へと、彼女は忠実に酌をしました。この機械的な動作の繰り返しの間に、仁木は搾木にかけられてる気持ちでした。彼女に杯をさす気にはなれませんでした。