Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
すいま
水魔
田中 貢太郎
Lesen Sie 水魔 (すいま) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.727 Zeichen · 24 Bildschirme
と、一人の給仕女がどこからともなく来て山西の前へ立った。
「何を持ってまいりましょう」
「ビールを持って来てもらおう」山西はそう云い云い女の顔を見た。それは眼と眉の間の晴ばれとした今の小女の顔であった。山西の頭には血が登った。彼はいきなり起ちあがって戸外へ逃げだした。
「おい、どうした、何をそんなにきょときょとしているのだ」と背後から来て肩に手をかけた者があった。
山西はびっくりして立ちどまった。手をかけた者は岩本であった。
「ばかにびくびくしてるが、また、何かやったのかい」と、岩本は笑った。
山西は黙ってきょときょとした眼を岩本の顔へやった。
「どうした、奥山の狐にでもつままれたのか」と、岩本はまた笑った。
山西はやっと気が注いて来た。
「なに、すこし、心配筋があってね」と、冗談を云ったが、その声は咽喉にひっかかって聞えた。
「まァ好いや、×××バーに往こう」
岩本が云うと山西は×××バーなら大丈夫だろう、と思った。二人は伴れだって区役所の傍へ往ったが、山西はまだ安心のできないところがあるので、前へ立ってバーの入口が入れなかった。彼は岩本の後から怖ごわ入って、四五人いる給仕女の顔を一わたり見廻したが、平生のとおりの知己の女ばかりで、べつに怪しい顔は見えなかった。