Japanische Klassiker mit Furigana
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みずとりてい
水鳥亭
Lesen Sie 水鳥亭 (みずとりてい) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.705 Zeichen · 62 Bildschirme
「ええ。家内と娘はそこへ疎開させますが、私はちょッと遠いものですから」
亮作は家庭の不和を隠していた。誰にも知られたくなかったのである。
「遠いッたって、なんですか。持久戦ですよ。物資のあるところに限りますぜ。こんな小ッポケな工場を持ったおかげで、私なんか身動きができないから哀れですよ。田舎へひッこんで、新鮮なものをタラフク食べて、忙しい思いを忘れたいですよ」
「実はお宅の伊東の別荘の片隅をかしていただけたらと、あつかましいお願いなんですが」
思いがけない申出に、野口の微笑が一時に消えた。やがて苦笑して、首を横にふった。
「御依頼に応じかねますな。たった四間の掘立小屋ですよ。ウチの家族だけで、はみだしてしまいますよ」
「軽井沢でも結構ですが」
「あれは人に貸しています」
野口は嘘をついた。
彼は軽井沢と伊東に別荘を持っていた。それは彼の多年の夢想であった。夏は北方の山荘に暑気をさけ、冬は南海の別荘に正月をむかえる。
その夢が手ごたえもなく実現してしまったのだった。
軽井沢は住みてを失い安値に売りにでたのを買ったもので、中流の立派な別荘であった。
伊東には手ごろの別荘の売物がなかったが、温泉のでる土地を買った。