Japanische Klassiker mit Furigana
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みずとりてい
水鳥亭
Lesen Sie 水鳥亭 (みずとりてい) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.705 Zeichen · 62 Bildschirme
売買
私は、もう社長ではありません」
「私を見すてないで下さい」
亮作は狂ったように嗚咽した。
野口は苦りきって、目をそらしたが、思い返して、つぶやいた。
「とにかく工場の後始末に、私だけは四五日東京に残らなければなりますまい。あなたにも手伝っていただかねばならないことが有るかも知れません。それから先のことは、お互に分りゃしませんよ。私はどこかの工場へ勤めますよ。一工員にすぎません」
彼はふりむいて、焼跡や防空壕をほじって品物を探しはじめた。
売買
亮作は野口にゆるされて鶏小屋にすんだ。床をはり、板で囲った。戦災者の特配品と、人々からの貰い物で、日常の用は最小限度に間にあった。彼は現金を持っていたが、食物以外には一文も使わなかった。タオルを持たなかったので、温泉につかると、からだの乾くまで、浴室にたたずんでいた。野口の家族たちは、彼に同情することや、物を与えることをやめた。
「梅村さん。利用ということを考えてはいかがですか。からだをふくにはタオルでなければならない筈はありません。なにも持たないといっても、全然代用品がないこともありますまい。ほらね。たとえば、あなたは肌身放さず腰にフロシキ包みを巻きつけていらっしゃるでしょう。