Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

みずとりてい

水鳥亭

坂口 安吾

Lesen Sie 水鳥亭 (みずとりてい) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.705 Zeichen · 62 Bildschirme

Aozora Bunko

「九匹じゃ、惜しいのね。六匹に一匹、足したツモリかしら。九匹から二匹、ひいたのかしら」

亮作はつかみかかりたいほど怒りの衝動にかられて、

「私の問いかけたことにハッキリ答えろ。ムリして数を合せているか。これ!」

「それは、たぶん」

克子の顔から血の気がひいて、白い薄笑いをはりつけたようになるのであった。

「忠誠と柔順に対する特別の恩賞ね。一匹のイワシのために老いの目に涙をうかべて喜ぶ人がいたのね。昔の同僚が町工場の小成金に出世して、拾いあげてくれたの。実直でグズなところを見こまれて、会計をあずかる重要なポストを与えられたのよ。けれども、平社員で、サラリーは安いのよ。その代り、社長は、あなた、あります、とテイネイな敬語で話しかけて、あたたかく遇してくれるのよ。そして六匹のほかに、余分に一匹のイワシも与えるの。すると平社員は老いの目に涙をたたえて、日曜の夜の社長の別荘帰りをお待ちするのよ」

女子大学生の理にかなった皮肉が、社長からわが身へと移ると、亮作は抵抗を失ってしもうのである。彼の息の根は怒りに止まる。逆上するが、口をつぐんで、うなだれてしもうのである。