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Japanische Klassiker mit Furigana

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みずとりてい

水鳥亭

坂口 安吾

Lesen Sie 水鳥亭 (みずとりてい) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.705 Zeichen · 62 Bildschirme

Aozora Bunko

しかし、訪う人の声によって彼であることを確めると、もうダメだ。亮作は感動だけのカタマリであった。胸の鼓動は羽ばたいて彼を裏戸へ走らせ、老いの目に涙をうかべさせてしもうのである。

亮作はその自分をあさましいとは思わなかった。人の善意を信じることは大切だと思うのである。しかし、信子や克子を相手にして、彼はそう考えているのであって、彼自身が直接社長に対しては、一週間の六日間はそのケチンボーや敬語を軽蔑しているのであった。だから一匹のイワシに泣く男をあさましいと思うのは、亮作が誰よりも激しかったかも知れない。

女房や娘の汚くて意地悪い表現によって、一匹のイワシに泣く己れの姿をシテキされては、もうオシマイであった。彼は逆上しながら、口をつぐんで、うなだれてしもう。

しかし、やがて、カマクビをたてなおす。

そして、社長に遠まわしの皮肉をきりだすと同じようにオドオドと、しかし執拗にくいさがる。

「お前はそのイワシを食べてはいけない」

言葉は、できるだけ静かであった。ただ、抑えきれない亢奮が口から泡をふかせているだけである。

「それほど軽蔑し憎むものをなぜ食べるのだね。