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Japanische Klassiker mit Furigana

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ひょうが

氷河

黒島 伝治

Lesen Sie 氷河 (ひょうが) von 黒島 伝治 (くろしまでんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.824 Zeichen · 42 Bildschirme

Aozora Bunko

負傷者は、傷をかばいながら、頭を擡げて窓口へ顔を集めた。五六台の橇が院庭へ近づいてきた。橇は、逆に馬をうしろへ引きずって丘を辷り落ちそうに見えた。馭者台からおりた馭者はしきりに馬の尻を鞭でひっぱたいていた。

「イイシへ行った中隊がやられたんだ。ウェヘヘッヘ。」

伍長は嬉しげに頓狂に笑った。

「何がおかしいんだ! 気狂い!」

やかましく騒ぐ音が廊下にして、もう血のしみ通った三角巾で思い/\にやられた箇所を不細工に引っくゝった者が這入ってきた。どの顔も蒼く憔悴していた。

脚や内臓をやられて歩けない者は、あとから担架で運ばれてきた。

「あら、君もやられたんか。」大西は、意外げに、皮肉に笑った。「わざと、ちょっぴり怪我をしたんじゃないか?」

「…………。」

腕を頸に吊らくった相手は腹立たしげに顔をしかめた。

「なか/\内地へ帰りとうて仕様がなかったんだからな。」

それにも相手は取り合わなかった。そして釦をはずした軍衣を、傷が痛くてぬげないから看護卒にぬがして呉れるように云った。痛がって、やっと服を取ると、血で糊づけになっている襦袢が現れた。それは、蒼白に、がく/\顎を慄わしている栗本だった。