Japanische Klassiker mit Furigana
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かごつるべ
江戸情話集
岡本 綺堂
Lesen Sie 江戸情話集 (かごつるべ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.779 Zeichen · 407 Bildschirme
連れのひとりは此の時代の江戸の侍にありがちな粋な男であった。相方の玉琴にも面白がられていた。外記は初めてこの里の土を踏んだ初心の男であった。しかし、これも面白く遊ばしてもらって帰った。
「すっきりとしたお侍でおざんすね」と、番頭新造の綾浪も言った。
綾衣はただ笑っていた。
その後も外記は遊びに来た。二回にはやはり玉琴の客と一緒に来た。三回を過ぎてからは一人でたびたび来るようになった。
玉琴の客はいつか遠ざかってしまったが、外記だけは相変らずかよって来た。綾衣の方でも呼ばずには置かなかった。しょせん添われぬときまっている人が、綾衣の恋の相手となってしまった。これも神のむごいいたずらであろう。もうこうなると、綾衣も盲目になった。末のことなどを見透している余裕はなかった。その日送りに面白い逢う瀬を重ねているのが、若い二人の楽しい恋のいのちであった。
夕雛の男というのは程を越えた道楽が両親や親類の眼にも余って、去年から勘当同様に大坂の縁者へ預けられてしまった。夕雛は西の空を見て毎日泣いている。それを気の毒とも可哀そうとも思うにつけて、足かけ三年越しもつづいて来た自分たちの恋仲も、やがてこうした破滅に近づくのではあるまいかと、綾衣も薄々おびやかされないでもなかった。