Japanische Klassiker mit Furigana
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かごつるべ
江戸情話集
岡本 綺堂
Lesen Sie 江戸情話集 (かごつるべ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.779 Zeichen · 407 Bildschirme
まことに恐れ入りますが、どうかあなた様から花魁によく仰しゃって、ここはまあ一旦素直に帰るように願いとうございます」
「いや、綾衣はここにはおらぬ」
外記は居ないと言った。喜介は居るに相違ないと言い張って、しまいには家探しをするとまで言い出したので、外記ももう面倒になった。
「たとい綾衣が隠れて居ようとも連れて帰ることは相成らぬ。外記が不承知だと、立ち帰って主人に申せ」
喜介はせせら笑った。
「へへ、子供の使いじゃございません。じゃあ、殿様、どうしても綾衣さんの花魁を渡しちゃあ下さいませんか」
「知れたことだ。帰れ、帰れ」
「へえ、さようでございますか」
こんなことを言いながら、喜介の料簡ではまず不意に相手の刀を取りあげてしまって、そのすきに奥から女を奪い出そうとする魂胆であったらしいが、外記の方にも油断はなかった。喜介が蛇のような手をそっと伸ばすと同時に、彼の腕はもう外記にしっかりと掴まれていた。
「武士の腰の物に眼をかける、おのれは盗賊だな」
掴まれた腕が外記の手を離れた時には、彼は狗ころのように庭さきに投げ出されていた。
つづいて外記の手は刀の柄にかかったので、彼はうろたえて這い廻って逃げた。