Japanische Klassiker mit Furigana
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かごつるべ
江戸情話集
岡本 綺堂
Lesen Sie 江戸情話集 (かごつるべ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.779 Zeichen · 407 Bildschirme
そんなことを言って自分の気を引いて見るのだということは能く判っていた。ここでうっかりした返事をすると、それを言いがかりに執念深く絡みついて来るお絹のいつもの癖を知っている彼は、なるべく逆らわないように避けているのを唯一の楯と心得ているので、今夜もおとなしく黙って聞いていた。
「君ちゃん。お酒は無いかい」と、お絹は次の間へ声をかけた。
「いや、そうしちゃあいられない。もうすぐに帰らなけりゃあならないんだ。あんまり無沙汰をしているから、唯ちょいと寄って見たのさ。もう五つ過ぎだ。早く帰らなけりゃならない。御用人がなかなかやかましいから」と、林之助は煙草をそろそろ仕舞いかかった。
「それだから屋敷者は忌さ。あたしがあんなに止めたのに、お前さんなぜ行ったの。御用人に叱られたって構わない。屋敷をしくじるように、あたしはふだんから祈っているんだから」
「冗談じゃあねえ」と、林之助は仕方なしに笑った。「いつも言う通り、おれも侍の子だ。いつまでもお前の厄介になって唯ぶらぶらしているのもあんまり口惜しい、どうにかまあ自分だけの身じんまくは自分でしなけりゃあならないと思って、窮屈な屋敷奉公も我慢しているんだ。