Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
かごつるべ
江戸情話集
岡本 綺堂
Lesen Sie 江戸情話集 (かごつるべ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.779 Zeichen · 407 Bildschirme
「執り殺すなら、殺してみろ」
こういう口の下から、彼は言い知れぬ恐怖に囚われて、とてもお絹の呪いに堪えられないような不安をも感じた。これまでの義理も捨てられなかった。うるさいとは思いながらも、その情けのこまかい味わいを忘れることはできなかった。考え疲れた彼のあかつきの夢は、胸へ這いあがって来る青い蛇にうなされた。
あくる朝はなんだか気分が快くなかった。ゆうべよく眠れなかったのと、寝衣で夜露に打たれたのとで、からだが鈍いようにも思われた。お絹をたずねる約束をはっきり記憶していながらも、林之助は早朝から屋敷を出てゆく元気もなかった。そのうちに主人の使いで牛込まで行かなければならないことになったので、彼はとうとう両国橋を渡る機会を失ってしまった。
「留守にまた押し掛けて来やあしまいか」
あやぶみながら帰って来たが、お絹はきょうは姿を見せなかったらしい。誰もたずねて来なかったという門番の話を聴いて林之助はまずほっとした。その日は一日陰っていて、夕方から霧のような雨がしとしとと降って来た。急に袷が欲しいほどに涼しくなって、疝気もちの用人はもう温石を買いにやったなどといって、蔭で若侍たちに笑われていた。