Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

かごつるべ

江戸情話集

岡本 綺堂

Lesen Sie 江戸情話集 (かごつるべ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.779 Zeichen · 407 Bildschirme

Aozora Bunko

しかし、こうして打解けているのは表向きで、二人の魂はかえってしだいに遠ざかっていくのではないか、というような寂しい思いが林之助の胸に湧いた。口では何とも思っていないと言うものの、向島の一件はまだ自分の胸の奥にわだかまっている。お絹もお里のことを忘れたのではあるまい。たがいの胸に思うことを抱いていながら、それを押し隠して美しく附き合っている、それがすでに他人行儀ではあるまいか。たがいの思うことを遠慮なく言い合って、泣いたり笑ったりした昔の方が林之助はいっそ懐かしいように偲ばれた。打解けていながらだんだん離れてゆくような寂しい心持ち、それを林之助は我ながらどうすることも出来なかった。どうしてこんな心持ちになったのか、それも自分には判らなかった。

お絹の胸にも不安のかたまりが鉛のように重く沈んでいる。おとといの晩の気まぐれは自分でも深く後悔している。自分の男は林之助のほかにないという事がつくづく思い沁みた。殊にきのうの煩らいから、彼女は急に気が弱くなった。

医者にも大事にしろと言われたが、けさから身体に悪寒がして、胸のあたりが痛んでならなかった。咳をするたびに、あばらへ強くひびいて切なかった。