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Japanische Klassiker mit Furigana

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かごつるべ

江戸情話集

岡本 綺堂

Lesen Sie 江戸情話集 (かごつるべ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.779 Zeichen · 407 Bildschirme

Aozora Bunko

と、彼はあばらのあたりを叩いてみせた。

「困ったね」

「あなたもいずれお見舞いでしょうが、まあ、いたわっておあげなせえましよ。お絹さんも可哀そうですよ。そう言っちゃ何ですけれども、楽屋の者なんてみんな不人情ですからね。本気になって世話をしているのは、あのちっぽけなお君という子だけでさあね」

林之助はだまって突っ立っていた。観世物小屋のそうぞうしい鳴物の音も、彼の耳へは響かなかった。豊吉はまたささやいた。

「それから、旦那。まあ当分、不二屋へはいり込むのをお止しなせえましよ。お絹さんはそればかりを苦にしているんですから。ここであんまり心配させると猶なおからだの毒ですぜ」

「なに、この頃はちっとも行きゃあしねえんだ。お辰やお花のおしゃべりが詰まらねえことを言うんだろう」と、林之助はいい加減にごまかしていた。

「ほんとうですぜ。あたしが先きへ死ねば、きっと林さんを迎いに行くって、お絹さんがそう言っていましたぜ」

豊吉は嚇すように言った。林之助はさびしく笑っていた。

「まあ、行っていらっしゃい」

楽屋へはいってゆく豊吉のうしろ影を見送って、林之助の足はまた重くなった。