Japanische Klassiker mit Furigana
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かごつるべ
江戸情話集
岡本 綺堂
Lesen Sie 江戸情話集 (かごつるべ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.779 Zeichen · 407 Bildschirme
その物音に驚かされて駈けつけて来た時には、彼女はもう生きている人ではなかった。それからすぐに両国へ使いをやって、お里はころげるように駈けて帰ったが、とても間に合う筈はなかった。そんな話をして、お里は声を立てて泣いた。
林之助はかの二歩を紙につつんで出した。もっとどうにかしたいのだが思うように行かないから、差しあたりはこれで堪忍してくれといった。お里は頂いて、それを隣りのおかみさんに渡した。おかみさんが葬式万端の世話を焼いているらしかった。おかみさんは受取ってすぐに仏前に供えたが、二歩の重みは彼女の注意を惹いたらしく、今更のように林之助とお里の顔をじろじろと見くらべていた。こうした家へ大小をさした人が悔みに来るのは、すこし不似合いであると見えて、ほかの女たちもみな林之助に眼をあつめて、今までべちゃべちゃしゃべっていた者も一度に口を結んでしまった。
ここに長くいてはみんなの邪魔になると、林之助もさとった。どうで周囲に大勢の人がいては、お里と打解けて話をする機会もあるまい。かたがた今日は早く帰る方がいいと思って、彼は早々に暇乞いをしてここを出た。
路地の出口で菓子売りのお此に逢った。