Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かごつるべ

江戸情話集

岡本 綺堂

Lesen Sie 江戸情話集 (かごつるべ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.779 Zeichen · 407 Bildschirme

Aozora Bunko

と、お園は雨の音を気づかいながら訊いた。

「朝の六つ半に八軒屋から淀の川舟に乗って行く。あしたは旅立ちよしという日と聞いているから、大抵の雨ならば思い切って発つつもりで、親方も兄弟子たちも八軒屋まで送ってやると言うていた」

「ほんに長い旅でござんすから、暦のよい日をえらむのが肝腎。わたしもその刻限には北を向いて、蔭ながら見送ります。この頃の天気癖で、あしたもどうやら晴れそうもないが、さして強いこともござんすまい」

「どうで長い道中じゃ。雨を恐れてもいられまい」と、六三郎は寂しく笑った。

「お前は下戸じゃが、今夜はお別れに一杯飲みなさんせ。酔うて面白う遊びましょう」

二人は愁いを打ち消そうとして杯を重ねた。三月も半ばを過ぎて、浪華の花を散らす春雨は夜の更けるまでしめやかに聞えた。

「家でも案じていると悪い。殊にあしたは早発ちじゃ。名残は惜しいが、もうそろそろと帰りなさんせ」と、しばらくしてお園は男の顔を見ながら優しく言った。

「ほんにそうじゃ。六三めは昼から家を出て、今頃までどこに何をしていることかと、親方も定めて案じているであろう。折角の発ちぎわに叱られてはならぬ」