Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
かごつるべ
江戸情話集
岡本 綺堂
Lesen Sie 江戸情話集 (かごつるべ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.779 Zeichen · 407 Bildschirme
弱い栄之丞はおれの足の下に踏みにじられてしまったのだと思った。
その灰の中から栄之丞の蒼白い顔が浮き出したかのように、八橋は眼を据えて煙りのゆくえをじっと見つめていた。彼女の顔も物凄いほどに蒼白かった。やがて彼女は次郎左衛門の方をしずかに見かえった。二人は黙ってほほえんだ。
あくる朝、次郎左衛門が帰る時にも、八橋は茶屋まで送って来て、身請けのことをくれぐれも頼んだ。
「ほんとうざますか」と、彼女はここでも念を押した。
「嘘はつかない」と、次郎左衛門も同じ誓いをくりかえして別れた。
仲の町には冬の霜が一面に白かった。次郎左衛門を乗せた駕籠が大門を出ると、枝ばかりの見返り柳が師走の朝風に痩せた影をふるわせていた。垂れをおろしている駕籠の中も寒かった。茶屋で一杯飲んだ朝酒ももう醒めて、次郎左衛門は幾たびか身ぶるいした。
初めから相手に足らないやつとは思っていたが、それでも栄之丞を見事に蹴倒してしまったということは、次郎左衛門に言い知れぬ満足を与えた。ゆうべの闇撃ち以来、にわかに栄之丞を憎むようになった彼に取っては、殊にそれがこころよく感じられた。八橋が栄之丞を見限ったということが嬉しかった。