Japanische Klassiker mit Furigana
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きせんのなかのちちとこ
汽船の中の父と子
小川 未明
Lesen Sie 汽船の中の父と子 (きせんのなかのちちとこ) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 4.175 Zeichen · 9 Bildschirme
大波が襲ってきて、船の上のものいっさいを洗いさらってゆきました。そして、このとき、父親の大事にしておいた、鉄で造られた金箱が転がって、海の底深く沈んでしまったのであります。そればかりでなく、小さな汽船は、砂浜の上へ、打ち上げられてしまいました。
夜が明けて、海の上が静まると、もう小さな汽船は、土の中に、半分ほどうずまって、海岸に建てられた小舎のようにしか見られませんでした。
「ああ、もうこの船の寿命も尽きた。私も、航海をやめよう。」と、父親はいいました。
子供は、はじめて、自分の希望がかなって、陸の上の生活が、できるかと思いましたが、さて、自分は、野原へか、街へか、どちらへいって、働いたらいいかと考えたのです。このとき、父親は、子供に向かって、
「私は、おまえに、たくさんな宝を残してやりたいと思ったのが、みんな、いまは、金箱といっしょに海の底に沈んでしまった。もうおまえにやるものがない。ただオルゴール一つだけだ。これをおまえにやるから……。」といいました。
「いいえ、お父さん、私は、なにもいりません。あなたが、海の上でお働きになったように、私はこれから広々とした陸の上で働きます。