Japanische Klassiker mit Furigana
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さばくのこと
沙漠の古都
国枝 史郎
Lesen Sie 沙漠の古都 (さばくのこと) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 110.076 Zeichen · 220 Bildschirme
鰐のおりそうな川まで来ると彼女は私を背に負って素早く水を渡るのであった。
わずか四哩の道程をほとんど十時間も費して土人の部落へ着いた時には既に真夜中に近づいていた。
夜中の満月は空にかかりその蒼茫とした月光の下に、茅葺きの小屋が幾百となく建て連らなっている一劃がすなわち土人の部落であった。侵入軍を相手として合戦中であるからでもあろう部落の中は騒がしかった。私は木蔭に身を隠しながら部落の様子を窺った。諸所で焚火をしていると見えて薔薇色の火光が天に上り蒼白い煙りが立ち上っている。土人達の叫び声や矢を放す音や小銃の音さえ聞こえて来る。
この私の驚いたことはそれらの雑音に打ち混って立派な支那語の話し声が明瞭り聞こえて来ることであった。尚一層私を驚かせたのは北京で聞いた例の詩があざやかに聞こえて来ることであった。
古木天を侵して日已に沈む
…………
巨魁来巨魁来巨魁来
「袁更生一味の海賊どもがあすこにいるに違いない!」
私はすぐにこう思った。体中の血汐が復讐の念に思わずカッと燃え上がった。
三十一
その時土人の部落を越えた遙か向こうの森の中から閧の声がドッと上がったかと思うと、それに答えて部落からも太鼓を打つ音が鳴り響き、凱旋踊りでもするように女子供までが広場へ出て薔薇色の火光を浴びながら足を空へ上げて踊り