Japanische Klassiker mit Furigana
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さばくのこと
沙漠の古都
国枝 史郎
Lesen Sie 沙漠の古都 (さばくのこと) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 110.076 Zeichen · 220 Bildschirme
と見て取った一瞬間、水中の丘から十間も離れた水藻の浮いている水面から水沫を颯と上げながら空中にヒラヒラと閃めいたのは、蟒蛇に似た顔である。
「雷龍!」と私の口から驚異の声が飛び出した。
その時ダンチョンは遙か向こうの森林を指で差しながら、
「大きな蜥蜴が飛んでいる!」
と恐怖に充ちた声で云った。
全く彼の云う通り、二十尺もある大蜥蜴が肩に付いた翼を羽搏きながら木から木へ龍のように飛んでいる。そしてその側の藪を分けて、豺と象とを合わせたような八、九間もある動物が二本の角を振り立て振り立て野性の鼠を追っかけている。それは確かに恐龍である。雷龍といいまた恐龍と云いいずれも今から数十万年前、地球に住んでいた動物で、それは人猿と同じように数十万年前のその昔に悉く滅びた筈である。それだのに人猿と相伴なってボルネオの奥地に棲息し二十世紀の今日まで生存えていようとは正に世界の驚異である。
私とダンチョンとはこの驚異にすっかり魂を怯かされて湖水の岸から逃げ出した。
そして岩窟へ帰ったのである。
三十七
猛悪の人猿の社会にも幾個かの不文律が行われていた。自分の所有でない雌性に対しては決して乱暴をしない事。