Japanische Klassiker mit Furigana
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さばくのこと
沙漠の古都
国枝 史郎
Lesen Sie 沙漠の古都 (さばくのこと) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 110.076 Zeichen · 220 Bildschirme
筏はずんずん進んで行く。人猿どもは岸に並んで物凄い叫びを上げながら拳を揮って打つ真似をするが、間を大水が隔てているのでどうすることも出来ないらしい。筏はずんずん水を切って社頭の方へ進んで行く。私の胸は期待に充たされ心臓が劇しく鼓動する。
夕陽、微風、波の囁き――湖水の上は涼しくてどのように漕いでも疲労れない。
筏は社に近寄った。
湖上に出ている屋根の側まで筏が流れて来た時に、そこに一隻丸木舟が纜ってあるのに気が付いた。それに不思議にも社の屋根に人間が一人はいれるくらいの四角な穴が開いていて垂直に梯子がかかっている。
私はこれを眺めた刹那、既に秘密の十分の九まで解決したような気持ちがした。私に何んの躊躇があろう! 独木舟の船尾へ筏を纜ぎそれから屋根へ這い上がった。
それから梯子を下ったのである。
下へ下るに従って射し込む日光が薄くなり全く暗黒になってからも尚下へ下りなければならなかった。私はこっそり心の中でおおよその間数を数えながら下へ下へと下りて行った。
「十間、二十間、三十間……」
と、ここまで数えて来た時に梯子は既に尽きていた。それとも知らず私の足は次の桟木を踏もうとしてハッと空間に足を辷らせ真っ逆様に墜落した。