Japanische Klassiker mit Furigana
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さばくのこと
沙漠の古都
国枝 史郎
Lesen Sie 沙漠の古都 (さばくのこと) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 110.076 Zeichen · 220 Bildschirme
第二回 沙漠の古都
と見ると女の容貌が微妙な雑種を呈していて氏の好奇心をそそったので、そのまま家へ連れて来て女中に使っているうちに、友人の市長に懇望され譲ってやったということだった」
「聞いてみれば何んでもありませんなあ」
レザールは思わず呟いた。
「どうです」とラシイヌは画家を見て、「あなたがもしも小説家ならよい小説が出来ますな」
「神秘でそして幽幻で大変面白い材料です。空想画として面白い。燐光を放って走って行く、獣のような人間を、一つ油絵で描きましょうかな」
「獣人というような題にしてね」
ラシイヌは笑って云ったものである。
麗かな春の午後である。
第二回 沙漠の古都
六
(以下は支那青年張教仁の備忘録の抜萃である)
夕暮れは室へも襲って来た。卓上のクロッカスの鉢植えの花は、睡むそうに首を垂れ初めた。本棚の上に置かれてあるバスコダガマの青銅像の額の辺へも陰影がついた。隣室を劃った垂帳のふっくりとした襞の凹所は紫水晶のそれのような微妙な色彩をつけ出した。
壁にかけられた油絵のけばけばしい金縁の光輝さえ、黄昏時の室の中の、鼠紫の空気の中では毒々しく光ることは出来ないらしい。