Japanische Klassiker mit Furigana
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かわはぜ
河沙魚
林 芙美子
Lesen Sie 河沙魚 (かわはぜ) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.653 Zeichen · 24 Bildschirme
千穂子は走って、台所へ行き、釜の下をのぞいた。火が燃えきっていた。あわてて松葉と薪をくべると、ひどい煙の中から炎がまいたって、土間の自転車の金具が炎で赤く光った。
千穂子は納戸から、与平のシャツと着物を取って来た。濡れたものをすっかり土間へぬぎすてて、裸で釜の前に来た与平はまるで若い男のような躯つきである。千穂子は炎に反射している与平の裸を見て、誰にともなく恥ずかしい思いだった。
「おじいちゃん、風邪ひくで……」
「うん、気持ちがいいンだよ」
与平は乾いた手拭で、胸から臍へかけてゆっくりこすった。千穂子がかたづく以前から飼っている白猫が、のっそりと与平の足もとにたたずんでいる。小さい炉では、鍋から汁が煮えこぼれていた。与平はシャツを着て、着物を肩に羽織ると、炉端に上って安坐を組んで煙草を吸った。人が変ったように千穂子が今朝戻って来てからと云うもの、むっつりしている。――今日は戻って来るか、明日は戻って来るかと隆吉を待つ思いでいながら、いつの間にか半年はたったのだが、隣町の安造も四日ほど前に戻って来たと云う話を聞いた。すべては与平と相談の上で、何もかも打ちあけて隆吉に許しを乞うより道はないと、二人の話はきまっているのではあったけれども、与平が何となく重苦しくなっているのを見ると、千穂子はいてもたってもいられない