Japanische Klassiker mit Furigana
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あぶらじごく
油地獄
斎藤 緑雨
Lesen Sie 油地獄 (あぶらじごく) von 斎藤 緑雨 (さいとうりょくう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 34.624 Zeichen · 69 Bildschirme
そうでないと極めて簡短な語をもって、同意不同意を表白するだけで、あえて太だしく論議したことはない、だから平生においても、敵という者を持たない代りに味方という者もまた持たない、つまり親密な友達と云っては、貞之進に限ってひとりも無いのだ。生れを問えば、山は赤石山、川は千隈川、地理書ではひけを取らぬ信濃国埴科郡松代から、もう一足田舎の西条という所で、富豪と朴直と慈仁と、この三つに隣村までの小作の指を折られる目賀田庄右衛門が一粒種、一昨年はまだ長野の学校に居たが、父に連れられて東京に来り、それより踏留まって今の秋元へ竜は潜んだのだ。されば学資はありあまる、書は自由に買い込む、それで読む読まぬにかかわらず机の前を離れたことがないので、目賀田は遂に字引になるのだとの評が、同窓の学友の口から往々漏れることがあった。
今の貞之進に、嗜好を何だと尋ねたならば、多分読書と答えるだろう、だが不思議なことは、寄席へ行けと云えば寄席へ行く、芝居へ行けと云えば芝居へ行く。それでどこにも面白いという気振は見えぬが、誘いかけられたことは必ず辞さない、或いは辞する