Japanische Klassiker mit Furigana
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あぶらじごく
油地獄
斎藤 緑雨
Lesen Sie 油地獄 (あぶらじごく) von 斎藤 緑雨 (さいとうりょくう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 34.624 Zeichen · 69 Bildschirme
ことならこのまま帰ろうかと思ったが、すると例の如く花笄が眼に映って断念めて帰ることはなおならない。客だッ、客だッ、客が臆することはないと又々取て返したが前まで行くと又々挫ける、それで又々々往過るのであったが、向うから勢よく駆て来た車に塀際を塞げられ、路幅の狭いのが仕合せとなって避るように御影の敷石を踏むと、入来いと呼ばれてもはや立退き難く、もとより立退くのが本意ではないので、やっと肚を据て下向いて這入り、どうぞお二階へと云れて、目を瞑るようにして駈上った。
色は白いが顔の地のあれた廿二三の婢、衝当りの六畳へ燈を点けて、こちらへと云うに貞之進はついて這入ると、この家は間ごと間ごと瓦斯を用いてある、座蒲団火鉢茶菓それから手を突てお肴はと尋ねるに、袂の巻烟草を出しかけて、さて何と云たものかと躊躇って居ると、見繕いましょうかと云れたので、ほとんど蘇生った心持でたゞうんと首肯いた。ちょこなんと独り待つ間も、胸さわぎするほかは烟草ばかりが愛しまれ、二十分ほど経った所で、椀の物を載せた膳と杯洗とを婢が持来り、酒盃を受けて下に置く