Japanische Klassiker mit Furigana
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はたのてい
波多野邸
豊島 与志雄
Lesen Sie 波多野邸 (はたのてい) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.194 Zeichen · 45 Bildschirme
千枝子はそちらへ行った。
「何をしているの。」
兄は立ち上って、ちょっとお辞儀をした。
朝早く、畠に出てみると、土瓶のように大きな蟇蛙がいた。それの宿にするため、中を空洞にして、瓦や石を積み上げているのである。むずかしくてなかなか出来なかった。千枝子も手伝った。
「ここに、蛙がはいると、怖いわ」と妹がふいに言った。
「なぜなの。」
「蛙にさわると、疣が出来るんでしょう。」
「嘘だよ。」と兄が叫んだ。「お父さんが、そんなことはないと言ったよ。」
「お母さんは、ほんとだと言ったわ。ねえ、どっちなの。」
千枝子は返事に迷った。そこへ、お菊さんが籠を持ってやって来た。子供たちに疣のことを尋ねられると、彼女はにっこり笑って答えた。
「さわりかたが悪いと、疣が出来ますよ。さわりかたがよければ、疣は出来ません。」
彼女は畠にはいりこんで、キャベツや大根や小蕪をぬいた。
千枝子はそこにつっ立って、午前の陽光に照らされてる豊かな菜園を、しみじみと眺めた。男のように腰に両の拳をあてて眺めた。それから、お菊さんの後を追って行った。
「わたし、お願いがあるんですの。こちらの畠の仕事を、手伝わして下さいませんか。