Japanische Klassiker mit Furigana
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りゅうせんスパイ
流線間諜
海野 十三
Lesen Sie 流線間諜 (りゅうせんスパイ) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 34.982 Zeichen · 70 Bildschirme
「本員にも明瞭でありませぬが、お尋ねゆえに私見を申上げます」と彼の大男はいった。「失われた半数のマッチは、かの頓死した日本婦人が嚥み下したものと思います。だから婦人は一命を損じたのです」
「ナニ嚥み下した。嚥み下すと死ぬのは分っているが、ではかの婦人はあのマッチの尖端が何で出来ているのか知っていたと思うか」
「それは知らなかったと思います。あの婦人は何かの身体の異状によって、マッチの軸を喰べないでいられなかったのです。つまり赤燐喰い症です。あの黒い薬をゴリゴリと噛みくだいて嚥んだので、マッチで火を点けたのではないから、箱には擦った痕跡がついていないのです」
「するとその婦人は、あのマッチの不足分は全部胃の中に送ったというのだな」
「そうです。私は確信しています。だから日本人の手に、あのマッチ一本だに渡っていないのです。ですから本員の除名は許していただきたいと思います」
「イヤ宣告に容喙することは許さぬ。――とにかくマッチが日本人の手に残らなかったのは何よりである。それがもし調べられたりすると、われわれが重大使命を果す上に一頓挫を来たすことになる。不幸中の幸だったといわなければならん。