Japanische Klassiker mit Furigana
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りゅうこうさっかのし
流行作家の死
野村 胡堂
Lesen Sie 流行作家の死 (りゅうこうさっかのし) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.876 Zeichen · 28 Bildschirme
そんな事も言いました。
玉虫色の笠に漉されて来る、言いようの無い美しい光の中に秀子は足の勇と並んで、長椅子の上へ深々と坐って居るのでした。
逆上性の秀子も、近頃は窓を閉めて、カーテンを引いてばかり居ります。お隣の部屋の鼎咲子はさすがに当てられ気味で、時々大きい音をさせたり、気取った咳などをしますが、秀子は西洋人のように、美しい肩を揺って、微笑をするだけでした。
併し、この交際も長くは続きませんでした。ある晩訪ねて行った勇は、秀子の化粧卓の抽出の中から、青酸の空ビンと、大きい西洋鍵を見付けて了ったのです。
勇は本能的に、この二品を取上げると、ギョッと四方を眺めました。幸い誰も居ません。手早くズボンのかくしにねじ込んで、酔っ払ったようにフラフラと起ち上ると、
「随分変ネ、お隣の鼎さんよ、あんなに親しくして居たのに近頃は私と口も利かないワ、妬いてるんだワ」
そう言い乍ら、顔を洗ったばかりの、健康な顔をした秀子が入って来ました。
「あら、どうかなすったの勇さん、変な顔色よ」
「どうもしない」
「何処かへお出かけ?」
「一寸社へ行って来る、あんまり休むから」
「宜いじゃありませんか首になったらそれまでよ」