Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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りゅうこうさっかのし

流行作家の死

野村 胡堂

Lesen Sie 流行作家の死 (りゅうこうさっかのし) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.876 Zeichen · 28 Bildschirme

Aozora Bunko

卓の抽斗はたった一つ開いて居りますが、中には大した重要なものが無く、これも取乱した様子を見出すほどではありません。卓上のスタンドは消したままで、天井から下った切子硝子の飾電灯が、書斎と言うよりは、寧ろ客間と言うに相応しく、華やかに四方を照して居ります。

その中に、桜の大本箱が一つ、電気蓄音機のかなり贅沢なのと、レコードキャビネットが一つ、書物卓の外に、茶卓が一つと、ベッド兼用になりそうな長椅子が一つ、安楽椅子が二つ、小椅子が二つ、その安楽椅子の一つの上に、主人公の小粟桂三郎は、何んの苦悩の跡もなく、爛酔して眠った人のように死んで居たのです。

茶卓の上には卓上点火器を兼ねた灰皿が一つだけ、その側に行儀よくパイプが置いてありますが、主人の小栗以外に煙草を喫った形跡もなく、部屋の隅の三角棚には、ウイスキーのセットとベルモットのビンが置いてありますが、これも飲んだ様子はありません。

入口は廊下に面した扉――江藤と角木が二人がかりで打ち破った扉――の外にもう一つ、直接庭の方へ開く扉がありますが、これも厳重に鍵を掛けてあります。

鍵は二つ共卓の鍵や何んかと一緒に小栗桂三郎の死体のチョッキのかくしに入って居ります。