Japanische Klassiker mit Furigana
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うかぶひこうとう
浮かぶ飛行島
海野 十三
Lesen Sie 浮かぶ飛行島 (うかぶひこうとう) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 124.009 Zeichen · 249 Bildschirme
右手には黒ペンキがまだそのままにべっとりとついている。その黒ペンキに汚れた手が、今おたずねの目印になっていることを、彼は知っているのであろうか。
それにしても、彼はなぜこんな冒険をして訳の分からない丸や三角を甲板の上に書きつけたのであろうか。
「おお梨花、――」
突然彼の眼の前を、ちょこちょこと足早にとおりすぎる可憐な中国少女を認めて、大尉は声をかけた。梨花は思わず、はっと竦んで美しい眉をよせ、
「え、どなたですの」
「梨花よ、僕だ」
「おおあなたは……」
「これ、しずかに。どうだね、杉田の容態は」
少女は、このとき急に悲しげに眼を伏せて、
「どうもよくありませんのよ。だってなかなか食事をおとりにならないし、それにいつもあなたのことばかり気にして考えこんでいらっしゃるんですもの」
川上機関大尉は、暗然と涙をのんだ。
「しかしあなたさまが御健在と知ったら、杉田さんはどんなに力がつくかしれませんわ。杉田さんに知らせてあげてはいけないのですか」
「うむ、――」と川上機関大尉は、腕をこまぬいて考えこんだが、ふと何か思いついたという風に、そっと梨花に耳うちをした。
「なあ、よいか。